何十冊ものトレーディング本を読んできた。『株式作手回顧録』、『マーケット・ウィザーズ』、『金融市場のテクニカル分析』——いわゆる定番書ってやつだ。どれも何かを教えてくれた。それは認める。でも、2500年前の中国の古典ほど、私のトレードを根本から変えた本はない。
『老子道徳経』だ。
あれは大損した直後だった。東南アジアを放浪しながら、何が間違っていたのかを必死に考えていた。友人がふと翻訳版を渡してくれた。一気に読んだ。また読み返した。手放せなくなった。
以下が、老子が金(ゴールド)のトレードについて教えてくれたことだ。
水は決して押し出さない
「天下の至柔は、天下の至堅を馳騁す。」 — 老子道徳経 第78章
これが私のトレード人生で最も重要な教訓だ。水は押し出さない。障害物の周りを流れ、やがて石をすり減らす。市場もまったく同じだ。
「勝ち」が必要だから、退屈だから、捨てられないバイアスがあるから——そんな理由でトレードを強要する。それが「押し出す」ことだ。そして押し出すことは、最も早くお金を失う方法だ。私はそれを何度も見てきた。自分自身でやらかしたことも数えきれない。
私のルールはシンプルだ:構造が明確でなければ、トレードはしない。 待つ。市場は最終的に私の方にやってくる。ジェシー・リバモアも同じことを言っていた。「大金を稼いだのは私の考えではなく、座っていることだった。」彼は間違っていなかった。
聖人は為すことなくして為す
「聖人は為すことなくして為し、言うことなくして教える。」 — 老子道徳経 第2章
ほとんどのトレーダーはトレードをしすぎる。ポジションを持たなければならない、何かをしなければならない、毎日お金を稼がなければならない——そう感じている。それはエゴだ。戦略じゃない。私自身もそうだった。
市場は行動し、教える。ほとんどのトレーダーは、インジケーターを追加したり注文を入れたりするのに忙しくて、観察して学ぶことをしない。道(タオ)は教えている——最高の行動は非行動、無為(wu wei)だと。怠惰ではない。瞬間に完全に調和した行動だ。
トレーディング用語で言えばこうだ:セットアップがあるときは断固として行動する。ないときは何もしない。どちらにも同じ規律が必要だ。私を信じてくれ。
止め時を知る
「人を知る者は智、自らを知る者は明。人に勝つ者は力あり、自らに勝つ者は強し。」 — 老子道徳経 第33章
トレーディングは鏡だ。すべての損失、すべての利益、すべての衝動的な決断が、あなたが誰であるかを暴き出す。道は教えている——本当の戦いは市場に対するものじゃない。自分の貪欲さ、恐怖、エゴに対するものだ。
NFP(米雇用統計)の日、20分で$1,800(約27万円)を失ったことがある。分析が間違っていたからじゃない。自分自身を制御できなかったからだ。確信していた。貪欲だった。間違っている可能性を認めることを拒んだ。道はこう言っただろう:まず自分自身を知れ。それからトレードしろ。それだけだ。
シンプルさは最高の洗練
「素を見せ、朴を抱き、私を少なくし、欲を寡なくせよ。」 — 老子道徳経 第19章
5,000以上のインジケーターをテストした。そしてすべて削除した。今は日足チャートとフィボナッチラインだけでトレードしている。道は教えた——複雑さは洗練じゃない。ノイズだ。純粋なノイズだ。
最もシンプルなセットアップが、しばしば最も利益を生む。日足時間足での明確なサポートとレジスタンス。動きの明確な構造的原因。そして両方を待つ忍耐。それだけだ。
私のトレーディング哲学
私は自分のシステムを因果有序(因果の秩序)と呼んでいる。老子道徳経に触発され、10年の失敗によって鍛えられた。そう、10年もの間、間違え続けてからようやく機能し始めたんだ。
すべての価格変動には原因がある。市場はランダムに動くんじゃない。蓄積し、分配し、構造に反応する。私の仕事は予測することじゃない。観察し、原因が完了するのを待ち、結果をトレードすることだ。
道は言う:「千里の道も一歩から。」 トレーディングも同じだ。複雑なシステムも、秘密のインジケーターも、達人の指導も必要ない。必要なのは、忍耐、規律、そして市場を正直に見つめる意欲だ。
それ以外はすべて、ただのノイズだ。